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超臨界流体のすべて

超臨界流体のすべて

(株式会社テクノシステム発行)より以下抜粋
ポンプとコンプレッサー (野田 洋二)

ポンプとコンプレッサー ここでは、超臨界装置に使用されるポンプとして特に高圧のプロセス系に原料の液体を注入するための形式のものについて説明する。使用されるポンプは次のように分類される。

 

プロセス圧力が10MPa以上程度の場合には殆ど往復動式のポンプが使用され、特にプランジャー式はよく使用される。原料の液体が一切漏れてはならない場合、また液体がグランドに悪影響を及ぼす場合にはダイアフラム式が使用される。一部には、2本のプランジャーで脈動(吐出が断続的になったり、吐出流量もサインカーブ状に変化する)がほとんどみられないように工夫された「無脈動式」のものがあるが、ほとんどの往復動式ポンプは脈動を伴なう。

従ってポンプの吸い込み配管を液体が流れるとき、この脈動に伴なう加速現象により加速損失水頭が生じるので、ポンプと容器の間の入口配管はできるだけ短く、径を大きくしなければならない。また、この脈動により、プロセス圧力が大なり小なりサイクリングを起こすので、このサイクリング幅が反応プロセスに、また、装置の機器に悪影響を及ぼす場合には、ポンプの出口配管のできるだけ直近にアキュムレーターを設置することによりサイクリングの幅を小さくすることができる。

入口配管がどうしても長くなる場合にもアキュムレーターを設置して脈動を低減させることができる。アキュムレーターには、気液式[分離式(ゴム袋式、ダイアフラム式)、非分離式]、バネ式等がある。往復動式ポンプはそのプランジャーのストローク長を変化させて(動力軸の回転数も変化させることも可能)その吐出量を変化させることができるようになっており、また、この形のポンプはすべて吸込側と吐出側に逆止弁を使用しているので、当然であるが、これらの逆止弁のシール性能が落ちてくると吐出流量が低下することになる。

従って入口側もしくは出口側に流量計を設置して、常に流量を監視することをお薦めする。原料の流体としてスラリーを含むものを、プロセス系に送り込みたい場合があるが、スラリーに固着性がなく、平均粒子径が100μm程度以下の場合には多少(数%程度まで)の濃度のものまでは往復動式ポンプが使える。

しかし、スラリー濃度が10%以上、粒子径も100μm以上になると往復動式ポンプは使えないので、この場合にはシリンジ(注射器)式の単動式ポンプを使用する。この形式のポンプは吐出中はその流量は一定になるために脈動は一切発生しないが、最充填に時間がかかるので連続式に送り込みたい場合には2本のシリンジポンプを用意し、交互に運転するようにシステム化したものを用いる。ギヤ式のものは、原料の液体に潤滑能力がある場合に使用でき、脈動が比較的小さく、小型で大流量のものができる利点がある。スラリー流体には使用できない。