まるごとウォーター
まるごとウォーター
宇宙技術とのコラボレーションにより生まれた装置
JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)は、長期有人宇宙活動の実現のため、自給自足型生命維持技術を開発に関わる「有機廃棄物の再資源化技術」の研究を行なってきました。
この技術は有機廃棄物を圧力と熱、触媒によって酸素ガスと反応させ、水と炭酸ガスに分解する「有機廃棄物の無機水分化技術」、排水を浄化する「水再生技術」、炭酸ガスから酸素を作る「空気再生技術」から構成されます。
まるごとウォーターはその中の「有機廃棄物の無機水分化技術」を使用しております。
この技術を応用すれば、家庭や食品産業界、畜産業界等から出る生ゴミや食品残滓、屎尿、家畜ふん尿等の有機廃棄物を水資源やエネルギー資源として再利用することができ、環境問題への貢献に繋がります。
まるごとウォーター技術力の実証
JAXAでは、焼酎廃液や鶏糞などを用いて有機廃棄物の処理を試み、BOD,COD(Mn)、COD(Cr)、SSなどの指標で99.98%以上の浄化率を実証しています。また、すでに弊社で製作したテスト機による実証実験を行なっており、JAXAでのテストと同様の結果が得られています。
再資源化技術の特徴
- 幅広い有機物の連続処理が可能。
- 脱水、乾燥、薬剤添加等の前処理が不要。
- 短時間で分解処理ができる。
- 連続で処理できるので、小型設備で多量の処理が期待できる。
- 高い分解力と浄化力を備える。
- 無機水溶液中と炭酸ガスが生成される。
- 無機水溶液中の不純物は回収して再利用できる。
- 生成される炭酸ガスからエネルギーを取り出すことができる。
- 宇宙での使用を目指した物で全生成物の再生利用が可能。
装置各部品の説明
- 有機廃棄物を水又は排水と共に破砕機へ流し込み、水と混ざったドロドロの液体(スラリー)にしたものを(1)の高圧スラリーポンプへ移送します。
- (1)の高圧スラリーポンプにより所定圧力へ加圧され(2)の反応機へ圧送されます。
- 破砕された有機廃棄物のスラリーが(2)の反応機に到達する途中で(6)の熱交換器を通過します。反応が終わった液の熱を被処理液に移動させることによって消費エネルギーを最小限にします。
- (2)~(4)の各反応器に有機廃棄物のスラリーが通過すると同時に、(5)のガラスコンプレッサーにより酸素が所定の流量で各反応器に提供され、所定の温度に保つことにより酸化反応が進みます。
- (7)のクーラーによりさら温度を下げます。この熱はヒートポンプ等を使うことにより利用することが可能です。
- (8)の圧力調整弁は装置全体の圧力制御を行なっています。
- 最後に冷却され常圧に戻った生成水と生成ガスは(9)の気液分離機により分離され回収されます。
まるごとウォーターを使った処理例
今後の活用の一例
廃棄物の現状<焼酎廃液>
平成15年の酒類生産量
ビール:400万キロリットル
焼酎:98万キロリットル(清酒を抜いて第2位)
清酒:84万キロリットル
活用例
- 焼酎の廃液処理
- ジュースの廃液処理
- 大型施設での排水処理
- 含水系有機物の処理
- 医療関係の排水処理
- 黒液の処理
- etc
※その他、アイデアによって様々な活用が可能です。
JAXAによる実証実験例
鶏糞処理例 | ||||
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項目 | 単位 | 処理前 | 処理後 | 分解率 |
BOD | mg/L | 122,000 | 17.6 | 99.9%以上 |
COD(Mn) | mg/L | 90,700 | 19.7 | 99.9%以上 |
COD(Cr) | mg/L | 810,000 | 51 | 99.9%以上 |
SS | mg/L | 141,000 | 3 | 99.9%以上 |
pH | 8.3 | 2.8 | ||
T-N | mg/L | 14,500 | 42.4 | |
T-P | mg/L | 12,400 | 1.11 |
まるごとウォーターが廃棄物処理を変える!!
液体でも気体でもない超臨界水
水の温度を374℃、圧力を22MPa以上にすると、液体と気体の特微を併せ持つ流体になります。この水を「超臨界水」といい、この水による激しい酸化反応を「超臨界水酸化反応」と言います。
それらに用いられるノウハウとJAXAで開発された技術によって有機物の高い分解能力を備える装置「まるごとウォーター」の製造を実現しました。
水中で物を燃やすという事
水と有機物の混合物に温度と圧力をかけて反応を促進させます。そこに酸素を入れ激しい酸化反応を起こします。これが水の中で物を燃やすということです。物を燃やした後の炭はCO2へ、炎は発熱エネルギーへ、ガスはガスとなって発生します。また酸化に必要な酸素量をコントロールできる為、有害な煤煙の発生が無く高価な排煙設備も不要です。
地球に優しい処理を
まるごとウォーターの処理は燃焼反応で生物処理に比べ処理時間が短く、安定した大量の処理が望めます。
また、反応が装置内部で完結するので生物処理とは違い周辺環境への影響が少なく、原料の加熱補助に熱交換と反応熱を利用するという環境へ配慮した設計となっています。さらに、それらの反応により生成されるガスと水は自然界に簡単に戻す事ができるもので、再生し利用する事も考えられています。